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ということで、実際に現場で調査を行うべく、「激モテ美女」「激モテイケメン」「おもしれー女」を含む男女各4人※、計8人の合コンを開催することにした。
参加者のラインナップはこちら。
※
・「おもしれー女」の意外性と激モテ美女の異次元のモテ具合を際立たせるため、普通にモテる美女2人(ただし性格に難ありで、すごくモテるわけでもない)を追加。
・「おもしれー女」の要件①を満たすべく、A〜C子の関心をA男に集中させ、関心度に差をつけるため、特に魅力のない男3人を追加。
ここで筆者はひらめいた。
「おもしろければおもしろいほど、勝算は高いのでは?」
我ながら天才的な発想だ。
ということで、このD子枠は、筆者の知り合いの中で最も「おもしれー女」に協力してもらうことにした。
彼女の名前は座衛子(ザエコ)。25歳。
西東京でバイトをしながら劇団員をやっている。
決して派手ではないが、整った顔立ちをしており、艶やかな肌と髪を持つ透明感溢れる女性だ。
少女漫画で「おもしれー女」として登場する「特別目立ちはしないが、可愛いらしい女の子」というお決まりの型にピッタリあてはまる。
これでいて、超が付く変態だ。
漫画のヒロインのような生半可な異常さではない。
完全に気が狂っている。
そう、彼女こそ正真正銘の「おもしれー女」なのだ。
彼女ほどの「おもしれー女」であれば、やってくれるに違いない…!
期待に胸を膨らませ、ザエコに全てを託すことにした。
そして当日。
舞台は友人が経営するダイニングバー。
しっかりと会話を拾いたいので、この日のために貸し切りにする徹底ぶりである。
筆者は友人を連れて先に入店し、合コンが行われる席の隣で待機していた。
なお、この企画の趣旨は、筆者の友人であるA子、B男、ザエコのみに知らせてあり、女性陣はA子に、男性陣はB男に揃えてもらった次第である。
あとのメンバーは普通に本気の合コンとして召集されているため、相応の気合いで臨むことになる。
さて、そろそろ会が始まる時間である。まず到着したのは男性陣。
どれがA男かは一目で分かった。
180㎝は優に超える高身長に、ワイシャツから浮き出る鍛え上げられた肉体。
くっきりとした彫刻なような顔立ち。
いたずらっぽく笑う口には整った真っ白な歯が輝いていた。
「これは…すごい…」
人間の外見を見て、初めて抱く感想だった。
大自然を前にひれ伏すような、畏敬の念に近いものすら感じる。
そのせいか、B〜D男が可哀想なくらい平凡に見えた。
というか、見えない。もはや存在しているのか疑わしいレベルだ。
それくらいA男の存在感は圧倒的であった。
この外見だけではない。完璧なスペック。
なんだか生きているのが恥ずかしくなってきた。
そんなA男に見惚れていると、
「遅れてごめんなさぁ〜い!」というC子の甲高い声とともに女性陣たちが入店してきた。
レベル、高〜!
みんな人目を引く美人だが、その中でも群を抜いてA子は美しかった。
1人だけ異質のオーラを発している。
流石は元モデル。
付き合いが長いとはいえ、会うたびに感動を覚える。
みんな美人…ん?
ちょっと待って欲しい。
そこには、人間の根源的な不安を掻き立てる生き物がいた。
ザエコだ。
綺麗に整えられていた黒髪ボブは、真っ赤なコーンロウになっていた。
透明感溢れる肌にはドーランが塗りたくられ、見るからに手抜きの不自然なメイクが施されている。
日本エ●キテル連合…?
これだけではない。首から下も最悪だ。
何やら怪しいデザインのTシャツに、今時どこで手に入れたのか、ポケットのチャックを開けると舌が出てくる古のパンツ。
そして下駄。
コンセプトがまるでわからない。
よく見ると例の怪しいTシャツは、ザエコ家の家系図(写真付き)が描かれた自作のものだった。
「父・淳一」の文字の上には、既視感あるハゲのダブルピース写真。
パンチパーマにタンクトップの「母・蒔絵」については、何度父親だと間違えたことか。
剛腕すぎる。
誰が外見まで面白くしろといったのだ。
というかここまでくると、もはや面白いのかどうかもわからない。
ただただ異常である。
…こうしてついに合コンが始まった。
が、すでに雲行きは怪しい。
一体この後どうなってしまうのだろうか。
後編に続く。